園児たち
園庭で遊ぶのも好きだけど、涼しい木陰で怖い話をすることも大好きだった。
3人くらいで輪になって話して、誰の話が一番怖いかをきそっていた。
トイレの花子さんが流行っているときだったこともあって、色々な話が流行っていた。
みんな、自分の知っている怖い話をさも怖そうに話した。怖くなって動かなくなっていると先生が来て、「ほら、みんな日なたで遊びなさい」と私たちの体を動かそうと促してくる。
怖いオーラに浸りきった私達は体があまり動かない。しかたなく日なたにフラフラと出たものの間違った場所に来た人のようなウロウロフワフワした動きになる。
幽霊みたいな園児たちを心配する先生。大好きな先生を安心させようと、形だけでもモヨモヨと動く私達。
先生、そんなに心配しないで。自由時間なのだから好きにさせてほしいわ。こういうところで同調圧力が刷り込まれていくのだね。
私たち3人はその後も圧力にひるまず怖い立ち話の会をし続けた。